No.6 2023年(令和5)年 �掘�
★ 私の拝聴記録で、谷口氏の演奏全記録ではないこと御了承下さい。
(文中、奏者の方の敬称略)
(演奏が撮影可の場合、カメラはサイレントモードで無音撮影)
■ 100万人のクラシックライブ
2023(令和5)年09月03日、三重県多気郡明和町 明和町中央公民館
今日は 「さわ」尽くしであった。
滋賀県彦根市佐和町 から、三重県明和町で演奏される沙和さんへ、、、。
2日間 彦根市佐和町に滞在していたが、昼から山を越えて 三重県多気郡明和町に移動した。
明和町制65周年記念『めいわまちづくりシンポジウム』において「100万人のクラシックライブ」として、谷口沙和氏(ヴァイオリン)とふらんちぇすか氏(ピアノ)が演奏された。アンコールを含めて30分程の演奏であったが、雨乞い踊りの撮影で以前に訪れたこともある町ゆえ、懐かしい思いであった。基調講演、パネルディスカッションや 演奏会と、大々的に開催される明和町がしっかりした町づくりに邁進されていることが分かり、感服した次第。演奏は13時15分からと16時20分からの二回公演であったが、二回目に間に合ったので鑑賞してきた。
■ 福本真琴・泉優志 チェロコンチェルト
《 Garden # 2 》 〈ON music project)
2023(令和5)年09月05日
電気文化会館 ザ・コンサートホール(名古屋市中区栄)
大オーケストラ向けの協奏曲を室内楽編成で演奏するという、意欲的な取り組みが《 Garden 》のシリーズとして展開されている。
ヴァイオリン奏者の谷口沙和さんも 「アンサンブル・ガーデン」のメンバーであることから、今夜拝聴してきた。
《プログラム》
ダンツィ作曲 木管五重奏曲 変ロ長調 Op.56-1
ポッケリー二作曲 チェロ協奏曲 ト長調 G.480
(ソリスト:福本真琴氏)
グリンカ作曲「ルスランとルドミラ」序曲
ドボォルザーク作曲 チェロ協奏曲 Op.104
(ソリスト:泉優志 氏)
[アンサンブル・ガーデン](敬略)
細川杏子・岡田麗妙子・安田莉子・山崎瑞季・巣立ひかり
谷口沙和・波馬朝加・宇佐美優・三谷野絵・丸地郁海・伊藤歩美
前半は古典音楽的な2曲を配し、後半は音の重厚に管の鳴り響くロマン派的な曲を配しての構成であった。
いづれも各楽器のパートを一人の奏者で演奏することで透明性のある音色の色合いが分かり易く澄み切った演奏であった。
ドボォルザークではコンサートマスターに谷口氏がオーケストラを牽引する重責を担って、演奏された。室内楽様式に編曲されているため指揮者は居ないから、谷口さんの責任は重大である。指揮者が居る場合でもオーケストラ団員はコンサートマスターに引っ張ってもらうと聞いたことがあるが、それほどコンサートマスターの存在は大きいのだ。
今回も管の奏者は谷口さんの第一ヴァイオリンの動きに視線を向けていたし、谷口氏もソリストに注視しつつ楽団員を牽引されているのが、よく分かった。まさに凛々しく、見ても痺れるほどで、才能溢れていると思った。
ソリストの福本氏の繊細な響き、泉氏の豪胆な響き、どちらも心の奥深くに共鳴して素晴らしかった。元々大編成のオケの演奏ゆえ、今回は少数精鋭で管が頑張っていらっしゃり素晴らしかった。
■ ロビーコンサート 昼コン〜『秋めく香りにメロディをのせて』
2023(令和5)年09月09日、
文化フォーラム春日井(愛知県春日井市鳥居松町)
うららカルテット(ヴァイオリン;清水麗楽、谷口沙和、ヴィオラ;小山日向美、チェロ;貫名紗詠の各氏)(ゲストにクラリネットの亀居優斗氏)
3階吹き抜けので陽光の差し込むロビーは、開放感溢れる美しい会場だ。
文化フォーラム春日井では昼、夜と定期的に催しを行ってらっしゃるようで、図書館などを併設した建物は文化の発信基地のような存在である。
演奏はまず「うららカルテット」による弦楽四重奏、そしてゲストのクラリネット奏者を迎えての五重奏という構成であった。
四重奏の煌びやかな響きとトーク、そしてクラリネットの温かい音色に幸せな気分になった演奏会であった。
ヴィヴァルディ;「四季」より 秋 第一楽章
ドヴォルザーク;弦楽四重奏曲 第12番「アメリカ」より第一楽章
ボロディン;弦楽四重奏曲 第二番より第三楽章「夜想曲」
木村弓 / 久石譲;映画「ハウルの動く城」より
世界の約束〜人生のメリーゴーランド
多保孝一;愛をこめて花束を / Superfly
モーツァルト;クラリネット五重奏曲 第四楽章
(アンコール)第二楽章
■ ランチタイム名曲コンサート vol.2487
『感じてごらん、北欧の風を』
2023(令和5)年09月14日(木)、宗次ホール(名古屋市中区栄)
夏が短く冬が長い北欧にはそろそろ秋の気配が支配してきているのだろうか。まだまだ夏の盛りのような日本に、北欧からの爽やかな秋の空気を感じさせる選曲であった。
大編成のオーケストラで演奏されることが多い曲を、4人の奏者が弦の響き爽やかな透明感で抒情的に聴かせてくれて感動であった。
物語性の曲ゆえ、4人の奏者が代わる代わる曲の解説を演奏前にしてくれるのは、改めて曲の解釈の手助けになる。特にランチタイムコンサートのように身近にクラシック音楽を親しもう的な企画では、曲の解説は難解と思われるクラシック音楽に接し易くする助けになって良いことと思う。
(演奏者)(敬略)
ヴァイオリン;武市莉佳、谷口沙和、ヴィオラ;三浦可菜、チェロ;坂田晃子
(曲)
グリーグ作曲
「ホルベルク組曲」より1.前奏曲、5.リゴードン
「ペールギュント組曲」より1.朝、3.アニトラの踊り4.山の魔王の宮殿にて
「2つの悲しき旋律」より 2.過ぎし春
シベリウス作曲
悲しきワルツ
「カレリア組曲」より 3.行進曲風に
「5つの小品(樹木の組曲)」より 5.樅の木
グリ―グ作曲
弦楽四重奏曲 Op.27より 第四楽章
(アンコール)
シベリウス作曲 フィンランディア讃歌
■ 『祈りの言霊』石田明日香 谷口沙和デュオリサイタル
2023年09月30日(土)、Halle Runde(名古屋市昭和区桜山)
言葉の持つ力や神秘性は呪禁道、陰陽道や密教よりも古く、『記紀』の頃から呪術力を持つとされてきた。
その「言霊」という一種、感情を突き動かすテクノロジーには、祈りの希求の呪文が隠されていたものだ。
言霊は、山間で声を向の山に向かって発すると還ってくる木霊が山の神の返事と云う、民俗的解釈になっていく。
音楽そのものが言霊でパワーを内包しているなら、残響は木霊であろう。谷口氏、石田氏は音楽に内包された言霊のような強い感情の希求を探って曲を構成されて音楽の言霊を、作曲家が何を願って作曲されてメッセージに込められたのかを求められた。ブラームスもフォーレのヴァイオリンソナタも、作曲された元は個人的な日常や日常環境によるものであるが、それは広く万人が持つであろう感情であり、それは音楽史に残る大作曲家も一人の人間として苦しんでいたという、我らも共有できる感情であるのである。音楽の言霊とは、今宵の曲からは誰もが共感し共有できる感情の起伏と思いであることが分かる。
その事を谷口氏と石田氏は或る時は強く、そしてある時は繊細に奏されて、聴いていて心に浸透していくようであった。
音楽の素晴らしさを実感できる、見事な演奏会だった。
《曲》
クライスラー;ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
クライスラー;プニャー二の様式による前奏曲とアレグロ
ブラームス;ヴァイオリンソナタ第一番「雨の歌」
ショパン;ピアノソナタ第二番より第一楽章
フォーレ;ヴァイオリンソナタ第一番
(アンコール)フォーレ;夢のあとに
■ OMP室内楽サロンコンサート『鼓舞・刺激・敬愛・歓喜』
2023年10月22日(日)、ALTO SALON(愛知県豊田市花園町屋敷)
ヴァイオリン演奏出演各氏;波馬朝加、清水綾、谷口沙和、猪子奈津子
演奏曲;G.P.テレマン作曲 4つのヴァイオリンのための協奏曲(TWV40:201)
J.クレール作曲 2つのヴァイオリンのためのソナタOp.3-1
B.バルトーク作曲 44のヴァイオリン二重奏曲Sz.98 BB104より
G.バチェヴィチ作曲 4つのヴァイオリンのための4重奏
G.P.テレマン作曲 4つのヴァイオリンのための協奏曲(TWV40:203)
J.ドント作曲 4つのヴァイオリンのためのホ短調Op.42
(アンコール)
G.P.テレマン作曲 4つのヴァイオリンのための協奏曲(TWV40:201)
より第四楽章
珍しい演奏会である。と云うのは、4人全員がヴァイオリン奏者であるからだ。
当然、それに該当する選曲になるのだが、事前にネットやCDで予習しようにも無い曲が多かったのだ。作曲家も同じ楽器で作曲するより、四重奏ならオーソドックスな編成を考えたのだろう。そこであえてヴァイオリンばかり4人という選択する作曲家の意図は何だったのだろうかと思う。それが演奏会のタイトルになっている鼓舞・刺激・敬愛・歓喜というヴァイオリンへの愛から書かれたのであろう。そして本日の奏者は、それを同じヴァイオリンばかりと思わせないほど、見事に音を組み合わせて構築していった。
それは4人の息がピッタリ合った演奏だからこそ、ヴァイオリンの広く深い表現が成しえたのだろうと思う。素晴らしい演奏会だった。
■ meets classicalプレ・イベント「どこかから音楽が」onmusic project
2023年10月26日(木)、橦木館(名古屋市東区橦木町)
「文化のみち橦木館」は大正末期から昭和初期にかけて建てられた、陶磁器商として活躍した井元為三郎の旧邸宅。
約600坪の武家屋敷の敷地割りに、庭を囲むように大正浪漫あふれる洋館、和館、茶室や裏庭に東西二棟からなる蔵が残されており、その「ハイカラ」な豪邸内の何処かで演奏される音楽を聴衆が回遊しながら楽しむ、というユニークな演奏会であった。
演奏者各氏;ヴァイオリン谷口沙和・波馬朝加、フルート細川杏子
館内の茶室・洋室そして和室の三か所を演奏者が回遊して演奏を行い、聴衆も各場所で演奏される奏者や室内を回遊して自由に音楽を楽しむという音楽に出会える空間、すなわちどこかから音楽が聴こえてくる、というユニークな実験的演奏会であった。
茶室は内部ではなく縁側に座ってという、ほぼ野外。洋室は十畳ほどの密閉性の高い空間で、抜群の残響。和室は柔らかく音色が流れる広い空間。それぞれに雰囲気変われば聴く側としても異次元の世界で音楽に浸るような気分になる。
演奏家の方々は演奏会ホールとは異なった響きを感じながら演奏されたであろうし、聴き手としてはホールという限られた場所から解き離れた空間で自由な聴き姿勢で音楽を楽しむことができた。
2023年11月07日(木)に名古屋市美術館内において19時00分から同様な回遊式コンサートが開催される。楽しみだ。
■ mellow (OMP室内楽サロンコンサート)
2023年10月28日(土)14時00分開演、ALTO SALON(豊田市花園町屋敷)
演奏出演者各氏;
ヴァイオリン 清水麗楽、谷口沙和、ヴィオラ 小山日向美、チェロ 貫名紗詠
曲;
A.ボロディン作曲 弦楽四重奏曲 第2番 二長調
A.ドヴォルザーク作曲 弦楽四重奏曲 第12番へ長調Op.96「アメリカ」
(アンコール)ドボルザーク歌曲集より「かけがえのない愛しい人」、童謡「紅葉」
弦楽四重奏の名曲を二曲、たっぷりと満足いく程に楽しんできた。
それは「mellow(優しさ、まろやか、哀愁、切なさ)」な気分になる秋の一日の演奏曲である。
2曲ともに大きく波打つような感情の起伏のようなメロディを、泣き処では泣かせてくれ、時に優しく心に染み入るように、そして訴えるように力強く演奏されて、聴き終えた後に本当に素晴らしかったと感動した演奏会であった(また同じ奏者4人でももう一度聴いてみたいものだ)。