■ 京都市下京区歓喜町、令和3(2021)年10月02日(土)
1995(平成07)年から滋賀県の湖北地方である北陸線 米原〜木之本間を、蒸気機関車が牽引する臨時列車の「SL 北びわこ号」が走っていた。湖北の観光振興に大いに活躍したこの列車は、関西圏や中部圏からも手軽に乗れる汽車として人気で、累計34万人が乗車した。
しかし2019年の秋に中国・武漢で発生した新型コロナは2020年の正月明けには日本に来襲し、初春から人々を騒動に陥れた。人々の冷え込む心に やがて、各地の観光地や観光産業自体が崩壊の危機に直面した。
コロナ騒動の第4波の最中の2021(令和3)年05月21日、JR西日本はニュース・リリースにおいて、「SL 北びわこ号」の運転終了を発表した。2020年度は全く運転されず、そして2021年度の運転も絶望と思われていたものの、まさか運転自体が終了してしまうとはと、激しいショックに襲われた。運転開始直後は C57 と C56 の重連運転も有って、活況を呈していた。ゆえに木之本にターテーブルを設置するとか、C61 の2号機が専用機として本線復帰するとか、嬉しい噂が流れた時期も有った。本当に懐かしい噂だ。
「SL北びわこ号」は最終運転となった2019年11月10日までの24年間のうち、2018(平成30)年05月27日までの23年間の中心機関車として稼働したのは、C56であった。平坦部分が殆どとは云え12系客車5両を牽いて本線を疾走する姿は、C56の思わぬ底力を感じたものである。
湖北は祭り、味覚や風景など大好きな場所であるが、その風土に触れつつ汽車も撮れるという、魅力の一角が消えるのは残念である。
京都鉄道博物館では『もう一度会える』ということで、「SL 北びわこ号」のマークを付けた機関車が12系(2両だが)を牽くという、嬉しい企画を行ってくれた。展示線で09月30日から10月05日までの6日間(最終日はマーク無し)で復活展示運転を行ってくれたのだ。
実質のサヨナラ運転である。本当なら年に数日でもいいから運転を継続して欲しいところだが、、、。
数々の楽しい思い出を提供してくれた「SL北びわこ号」。もう会えないのだろうと、感謝と共に最後の別れをしてきた。
■ 湖北路を走った機関車たち
(拙HP【舞!組曲】〜『復活 蒸気機関車』より)
上;EF65 + D51、安土、2019年11月03日 (米原への送り込み回送)