日本!(近江の祭・火祭)
No.9 松明(西宿町 若宮神社、浅小井町 津島神社)近江八幡市

■ 西宿町 若宮神社例祭

撮影場所&日;滋賀県近江八幡市西宿町、平成20(2008)年5月17日
撮影機材;Nikon D300+VR18−200mm、D80+SIGMA10-20mm

昔、西宿町は御所内町の出雲神社の「郷」に属しており、近隣の六っつの町と「出雲郷」を形成していた。しかし明治初年にこの郷から離脱してからは、いわゆる小祭と呼ばれる地元の鎮守神様での祭のみが行われている。
ここの松明行事の子供松明は特徴があった。これまで訪れた祭礼での子供松明は、笠松明のミニチュア版のような高さ1〜1.5m程のものであった。しかし西宿町の子供松明は、火付け松明のような形である。この子供松明を宵宮で笠松明が奉火された後、子供が燃え盛る笠松明と拝殿の周囲を引き回すのである。西宿町内には愛宕碑があるなど近江八幡市は愛宕信仰の盛んな町で、愛宕講が結成されていたりもする。子供松明を子供が引き回すとは、変わったことをするのだが、これは愛宕信仰に通じることかもしれない。愛宕信仰は火伏せであるが、子供に松明を引かせることで、火の怖さへの恐怖・畏敬と同時に、火を巧く扱うという一種の大人への通過儀礼ではなかろうかと思った。ここ西宿町の東へ500mには友定町が、西へ700mで上田町がある。両町共に、このような子供松明の形で引き回しは無かった。西宿町祭礼は郷祭りではなく、集落の小祭であるにせよ、なぜ近隣の神社祭礼の子供松明の影響を受けなかったか不思議である。だいたいは近隣の影響を受けて、内容が均一化していくものだが、独自な松明行事のスタイルが残っているのはこの集落の独自性とプライドが感じられる。そのプライドは、郷から抜けた独自性にも関係あるかもしれない。

上左写真;宵宮が始まるまで、近くで新幹線を撮影した。水田に車窓の灯りを映して走る新幹線は、美しかった(ISO3200、1/8、f5.6)。

上右写真;笠松明を、ここでは開き松明と呼ぶ。町内を神輿が巡行後、奉火される。

上写真;開き松明が燃える中、神輿が周りを廻る。

上写真;子供松明を、子供が引き廻す。


■ 浅小井町 津島神社 祇園祭 宵宮

撮影場所&日;滋賀県近江八幡市浅小井、平成20年7月19日

浅小井の今宮天満宮に摂する津島神社の祭礼、祇園祭における宵宮松明の撮影を行った。近江八幡市内における神社祭礼での松明は主に、3月頃から遅くとも5月までの春祭で奉火される。夏祭で奉火されるのは、ここ浅小井だけである。ただ、そのことは松明奉火が春祭に特化した行事でないことを示唆している。ここ浅小井では六基の開き松明(笠松明)が順番に奉火されるが、江戸時代中期ころの絵図には既に描かれていた本松明は無い。本松明より歴史の新しい、江戸時代末期〜明治期に作られはじめた笠松明のみが有るということは、松明が祭礼の核心部分ではなく、より風流化してから、祇園祭では行われ始めたと思われる。ちなみに、今宮神社祭礼(4月)では開き松明(笠松明)は無く、本松明が二基作られる。この松明の奉火スタイルの違いは、その存在性をも示唆しているように思われる。
尚、本日では六基の曳山巡行がある。

上右写真;お囃子方が神社に到着後、津島神社前で神主さんの祝詞、総代さんの参拝がある。

上写真;子供松明が奉火される前、花火で遊ぶ。

上写真;子供松明の奉火。


上写真3枚;開き松明(笠松明)の奉火。


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