日本!(近江の祭・火祭)
No.6 松明(牧町、篠田の花火)近江八幡市

■ 牧町 五社神社祭礼(宵宮)
撮影場所&日;滋賀県近江八幡市牧町・五社神社、平成20(2008)年5月3日
撮影機材;Nikon D300+VR18-200mm、D80+SIGMA10-20mm

近江八幡市牧町の五社神社祭礼において5月3日、宵宮の松明奉火が行われた。
ここ牧町では、町内全部の約210軒が氏子となって、祭礼は選挙によって氏子総代が決まる。そして執行部役員な組長らが神事係として奉仕する。また、祭礼奉仕団(敬神会)は各戸一人づつが松明作りから当日の松明運びを行う。そして全11組の各組からは4〜5人が太鼓係りになる。
ここの宵宮松明行事は最初は神社境内に立てられていた松明を、御神輿のように担いで拝殿周囲を周ってから馬場の奉火場所まで移動させることが特徴であろう。この笠松明は4月29日か5月3日に結って、一旦は神社境内に立てておく。11基の笠松明には提灯や造花それに日章旗が付けて飾られている。そして宵宮の19時ころ、総代等役員や神事係が太鼓のところから拝殿に渡る。やがて各組の太鼓そして松明が拝殿にやって来る時、拝殿では巫女が舞を舞いそして総代はじめ神事係らが提灯を振って迎える。そして本殿前には宮司さんら神職が並んでいる。拝殿に担がれてやってきた笠松明は、境内から鳥居を潜って出て、馬場に担がれていく。全11基の笠松明が並び立つと、宮司さんから総代の提灯に御神火を移され、それが各笠松明の点火に用いられる。笠松明が燃えると総代や神事係は境内の大松明のところへ戻り、一同そろって提灯からのご神火で点火する。

上写真;拝殿で巫女舞

上左写真;拝殿で総代や神事係が御神酒と金柑で祝い事

上写真;境内から馬場へ笠松明を担ぎ出す

上写真;馬場の北側から南へ、順に11基の笠松明に奉火する

上写真;笠松明の奉火後、境内の大松明に奉火される。


■ 篠田の花火  篠田神社祭礼(宵宮)
撮影場所&日;滋賀県近江八幡市上田町・篠田神社、平成20(2008)年5月4日

「篠田の花火(滋賀県近江八幡市上田町)」として有名な和火は、篠田神社における三日間の春季祭礼での宵宮に行われる。祭典は三日間におよび、花火が主目的の行事ではない。であるにもかかわらず、花火という一部分だけが有名になってしまうことは各地の祭にも多々あることである。いつころから篠田の花火、特に和火という魅力的行事が行われるようになったかというと、詳細な記録が民俗芸能のご他聞に漏れずここでも残っていないので詳細は不明である。が、幕末期の花火師の「御用硝石家別御調帳」という記録や、用いた用具に火薬扱い師の名前が残っていることから、神社の行事として江戸時代に篠田の花火は遡る歴史が有ると思って間いないようだ。篠田の花火の和火は高さ10m幅20mの面積で、約一坪強の杉板を40枚も組み合わせて総画を作り上げる。
工程は、下絵書き、薬剤作り、糊作り、薬剤貼り付け、黒色火薬塗り、火薬配合、はけ紙作り、足場組み、ランス作り、舞火作り、板の張り付け、という過程を経て一ヶ月もかけて作られる。
和火は立板から20mも離れた櫓の上から誘導線を使った綱火(ロケット花火)で点火される。花火が最初は爆発するようになり、そして回転する舞火、やがては幻想的な絵模様が5分ほど闇に浮かび上がる。花火の原料は硝石・硫黄・明礬・桐灰そして黒色火薬も使われている。それらが燃焼すると明礬が溶けた硫黄を取り込んで軽石状になる。それにより絵模様が崩れるのを防いでいるという。この和火による絵模様は篠田独自のものであり、素晴らしい情景を呈する。現在は神社氏子による保存会によって、一ヶ月も前から準備がされている。
和火が終わったら洋火や笠松明の奉火である。
笠松明奉火が済んだ後は「ハイヤラコーの神事」といわれる行事であり、それが私的には興味深かった。「ハイヤラコー(またはハイラコー、ハヤラコー、ハイアラコー等)の神事」は、若宮の社守三人と駕輿丁三人の計6人が榊を手に奉げ持ち、一杯気分のように千鳥足で参拝者の間を右往左往しながら歩く。姿は白足袋で裃の裾をまくりあげ、境内で「ハイヤラコー」と皆が笑いながら囃したてる。これは神遊びと云われている。つまり神遊びでも私的には、【翁】の舞のような神楽の一種と考えている。「ハイヤラコー」が何を意味しているか不明である。能【翁】でも意味不明な詞が出るが、これも呪文の一種なんであろう。榊という神の依代を持って憑いた状態にあり、参拝者の間を練るのは、万民に招福を与えて歩いているということであろう。神が舞遊び、祝福をする、、、【翁】のような神楽のような行事が「ハイヤラコーの神事」であると思う。
「ハイヤラコーの神事」が終わると各小路の太鼓が拝殿前に移動して、全ての祭員が膝をつき境内はそれまでと一転して静寂に包まれる。そして宮司さんの祝詞奏上。それが終わると、太鼓は提灯、手振り松明、火つけ松明、太鼓に鉦という編成で各小路に帰り、宵宮が終わる。

上写真;氏子総代らの宮入


上写真3枚;和火。点火後には舞火で弩迫力な炎の演出。やがて静寂で幽げな紫式部の絵が浮かび上がる。

上写真左右;「ハイヤラコーの神事」(上記キャプションご参照)

上写真;「ハイヤラコーの神事」の後の、拝殿での祭典

上写真;太鼓が先導する松明の落とした火の粉の上を進む


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