日本!(近江の祭・火祭)
No.53 水分神社 御田植祭

■ 滋賀県大津市栗原 水分神社、平成30(2018)年6月 撮影

例年6月10日に行われる栗原 水分神社での「御田植祭」、本年は日曜日となったので出かけてみた。

10時始まりという一時間前に着くと、普通なら準備で人の出入りが有るはずが静まりかえっていた。

境内に行くと、既に御田植の儀礼の痕跡が残っていた。後で集落内の人に訊ねたら、都合で5日に済ませたという。

現地の都合で変更になる民俗行事は、事前に訪ねて情報を得ておかないと、思い込みではダメという見本である。

しかし目的だった御田植の痕跡が写せたので、良し とした。
境内に丸い田を設定し、早乙女が田植え歌を歌いながら稲を投入するのが儀式としてある。その所作は田植えのモドキなのだが、興味深いのはそこではなく、丸い田の形状である。丸いと相撲の土俵を連想する。しかし相撲は興行的に面白くするために江戸時代に丸くなったにすぎない。丸い田圃は、極めて珍しだろう。整理された田圃は方形である。早乙女が田圃を囲んで儀礼をするのにも、四角とも不都合はない。であるのに丸いのは、他の理由があるのではなかろうか。。。そこで思いついた。茶道での禅語である円相である。円相(円相図、一円相とも呼ばれる)は地・水・火(日)・風・空を含む世界の全体、究極の姿を表しており、まさに宇宙像なのである。栗原の水分神社での御田植祭では、境内に宇宙を再現したかったのではなかろうか。宇宙全体を支配する力で、豊穣を約束させる。そんな壮大な世界観が隠されているのかもしれない、そう思った。

ところで栗原という集落は、琵琶湖の湖面よりけっこう高い土地に位置している。ちなみに琵琶湖湖面は標高85mであるが、栗原の中心部は標高200mである。この集落の人家密集地には田は少なく、多くの田は喜撰川を挟んだ向かい側に棚田のように有る。水は背後の霊仙山からの水が頼りであったろう。

日照りが続き、霊仙山からの水が枯れたら、、、決して豊富な水量と水田面積があるわけでない栗原にとって、御田植祭は願掛けに重要な儀式だったろうと想像している。

上写真;田植えの モドキ が行われた、境内の 予祝儀式の跡。

上写真;参道には勧請縄が有った。田の神、雨や水の神である蛇や龍を表す、蛇頭と尻尾の形状もしっかり成している。


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