日本!(近江の祭・火祭)
No.39 坂本神社 春祭〜ウグイ寿司

■滋賀県高島市マキノ町上開田、 平成24(2012)年4月撮影

寿司の発祥の地は東南アジアの山岳盆地だと云われている。それが稲作とほぼ同時に日本に伝来した。その寿司は一般的に食べられる江戸時代に誕生した握り寿司ではなく、醗酵させた馴れ寿司である。半年とか長期間に渡って醗酵・熟成させる馴れ寿司に滋賀県の名物の「ふなずし」があるが、この長期漬けるすしを“本なれずし”という。伝来したのは三世紀頃といわれる。それから1,000年を経過して室町時代、穀物は醗酵しているが魚は生々しい“生なれずし”が誕生する。今回、坂本神社で御神饌に供するウグイは一般的に“生なれずし”として漬けられる。しかし9ヶ月漬けた本なれずしに匹敵する。祭の前年の4月、知内川を遡上してきたウグイを4〜7月の三ヶ月間 塩漬けにして、7月の土用のころに米8升・塩15Kg・ウグイ50〜60尾を漬ける。 なぜウグイか?ということだが、坂本神社の祭に今は神輿が無いが昔に有った頃、大雨で神輿が流れてしまった。引き上げた神輿にウグイが入っていたということで、ウグイを神様にお供えすることになったのだという。ふなずし を御神饌とする祭は少なからずあるが、ウグイは珍しい。ゆえにそのような奇譚が生まれたのであろう。直会の時に頂いたが、柔らかく風味豊かに熟成されており、たいへん美味しかった。

尚、ウグイ以外の御神饌は大小の藁で編んだL字型のツトに収められる。モヤシ・ウド・ワラビ・フキ・琵琶湖の小エビなど山湖の幸が並ぶ。御神饌の準備を御供結(ごくゆい)と云う。その御供を桶に収め、祭典本日に社守が肩に担いで神社へ奉納に向かう。随伴するのは、赤い着物を着た稚児である。 多々、興味深い祭であった。

※たいへんお世話になりまして、誠にありがとうございました。

上左右;御供結と調製された御神饌

上;神社へ出発。

上左右;供饌行列

上;神社に到着したら社務所で修祓(しゅぱつ)。

上左右;藁ツトに納められた御神饌とウグイ。

上左右;祭典と稚児。

上4枚;直会でウグイ寿しを頂く。


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