日本!(近江の祭・火祭)
No.38 檜尾神社の御田植祭り

■滋賀県甲賀市甲南町池田、 平成24(2012)年3月撮影

猿田彦(天狗)と田植え稚児3人、そして言寿(ことほぐ)翁が農作の豊穣予祝の御田植祭をおこなう。
稚児は神社の金毘羅講の子供から選ばれ、猿田彦は小川家そして翁は山本家という代々世襲の相伝によっておこなわれる。
拝殿では通例の祭式次第が斎行されるが、その後に境内で予祝の田植えがおこなわれる。
神道祭式次第は近年の通例だが、中世から行われているという田植え行事、元々はどのような段取りでおこなわれたのだろうか。祭儀の一部だったのか、あるいは祝祭の一部だったのだろうか。現在では神道祭式次第の後だから、祝祭的な意味合いである。
御田植祭は猿田彦が馬鍬で田の土を整地し、次に馬鋤で土を掘り起こしてから田植え稚児が苗取りと田植えを3回づつ行う。
それから鉾を持って田を祓い、鼓を持ってうつ。翁は閉じた扇で自らの肩口をたたいて慶びを表現する。
このような田植えの予祝に猿田毘古神と翁が登場するのは珍しい。 猿田彦は『古事記』において高天原から地上まで照らす神として登場する。高天原からの先導の導きの神や防塞神の性質だけでなく、照らす神として太陽神としての性質もある。この予祝儀礼では、それら複合的な意味合いで登場するのであろう。
一方、翁は田植えが済んでからの祝福に登場するだけである。室町時代、世阿弥の意思を継承した金春禅竹の『明宿集』において、「翁ヲ宿神ト申シタテマツルコト・・・』の記述があるが、宿神とは星神=暦神でもあるわけである。あらゆる宿神は宇宙の主宰神である天帝(太一)に帰一し、ゆえに翁は天帝にも習合するのである。すなわち翁は北辰(北極星)として天体全体だけでなく影響される人間世界の秩序まで気配りの支配を行うのである。翁とは天帝の顕現した姿ゆえ、その絶対的な存在が祝福予祝してくれるのだから、豊穣は間違いないという訳である。私見だから、想像だが。


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