■撮影場所&日;滋賀県野洲市辻町、平成23(2011)年1月10日
ここの山ノ神のまつりの特徴は、御神饌に生きたドジョウを献じること、そして山ノ神の碑の前に勧請縄を掛けて、その背後でオッタイ(男)メッタイ(女)の股木による模擬性交儀礼が行われることである。
ドジョウ+勧請縄+男女の股木、の三点セットは極めて珍しい祭具であろう。御神饌となるドジョウは、近江ではこの近辺での祭礼で供せられる事例があるが、山ノ神様にお供えする例は珍しいと思われる。竹筒に入れられたオスメスのドジョウ、祭典の後には近くの小川(用水路)に放生される。勧請縄は、氏神様である三上神社境内にも掛かっているが、山ノ神まつりにおいても、山ノ神の長持と呼ばれる注連縄を持参し、祭場において藁縄を付けてから祭場に掛け渡される。野神様は三上神社境内に祀られているが、その祭典は祈年祭の時に斎行されるという。股木は特にオッタイ(男)が、きちんと三叉の枝を選ばれていたのには感服した。なかなか枝ぶりが良い木を探すのが難しいであろう。
前夜からの雪が積った道行きは、えにも美しい情景となった。
※辻の皆様にはお世話になり、どうもありがとうございました。
上左写真;三上神社境内の勧請縄、上右写真;三上神社本殿。
上左写真;御神饌となる、鰌。上右写真;オッタイ(男)、メッタイ(女)の股木
上写真;扇で隠してオッタイとメッタイを合体させる、模擬性交儀礼。「山ノ神様のベンベラコー」と唱えながら行う。
上左写真;交合状態で山ノ神の碑の前に安置された、オッタイとメッタイ。
上右写真;祭典後、ドジョウを放生する。