日本!(近江の祭・火祭)
No.14 太郎坊宮(阿賀神社) お田植大祭

撮影場所&日;滋賀県東近江市、平成21(2009)年5月17日
撮影機材;Nikon D300+VR70-300mm

滋賀県東近江市の太郎坊宮(阿賀神社)のお田植大祭を奉拝・撮影してきた。小雨の降る中、午前11時から一時間半、御神田で斎行された。
太郎坊宮は正式名称は阿賀神社と称し、御祭神は天照大御神の第一皇子の正哉吾勝勝葉速日天忍穂耳尊(天忍穂耳命)である。社殿は赤神山の急斜面にへばりつくように鎮座され、山には磐座の祭祀場が存在する、いわゆる神体山信仰・磐境信仰の霊山である。太郎坊の名前は、この山が修験者の修行の場ともなっており、太郎坊天狗が住まう山、そして天狗が御祭神の守護神となっているからである。天狗とは赤ら顔で表現されるが、山の名前になっている“赤神”とはすなわち、天狗を意味しよう。ただ一般には、天狗とは修験者と置き換えて考えてもいい。
御祭神の天忍穂耳命は、天照大御神より日本の統治を託された最初の神様ある。神様の名前は、「威力に満ちた稲穂の神」という性格である、まさにこの日のお田植え大祭にふさわしい。
能【鞍馬天狗】では、月影暗い僧正が谷に多くの天狗が集う。その中に彦山の豊前坊がいる。そこの英彦山神宮も、同じ御祭神をお祀りしている。天狗つづきの偶然ではないだろう。天狗(修験者)が集うような急峻な山にこの御祭神が祀られるのは、天照大御神によって高天原からと豊葦原の中つ国へ降臨されるには、高い山を目印に降りられた、すなわちここでは磐座のある赤神山ということなのであろう。
天狗(修験者)を意味する(と思う)ネーミングの、赤神山にへばり付くように社殿が建てられている。その偉容は、かつての修験者の山岳修行の厳しさをも物語るようである。創建は今から1400年前と伝わるが、後に最澄が50の坊を設けている。そのように天台宗、修験道および神道の習合した山岳宗教の霊山が赤神山であった。むろんこの地の民にとっては、祖霊の戻る山、田ノ神の来る山などの漠然とした観念で捉えられた山であったろうから、どのような宗教の山であるかは深い意味が無かったのかもしれない。赤神山には磐座が存在するが、それは現在のような本殿を設けてお祀りするお社以前の神々の世界が存在したことを意味するだろう。言い換えるなら、山が神である神体山の場合、本来は社殿は無かったのである。むしろ現在の御祭神である正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊(天忍穂耳命)をお祀りするご本殿が建ったのは、明治以降かもしれない。修験道の蔵王権現と神道の御祭神である天忍穂耳命が、以前からここでは同一視されていたのかも疑問だ。神道の山にして修験道、それに天台の山、どのような信仰内容であったか、想像できない。(修験道は明治5年に明治政府によって廃された)
添付写真では右側の大きな建物が参集殿。その左が絵馬殿、その一段上が拝殿。一番高い場所に本殿である。

上左写真;太郎坊宮遠景、上右写真;祭員参進。

上左右写真;湯立神楽。


上写真3枚;植女さんのお田植え。


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