日本!(オコナイ)
No.8 長浜市   地福寺町、石田町

湖北の「オコナイ」は、本年(平成20年)の1月から3月にかけて撮影したうちの五箇所が既にUPしてある。今回UPした長浜市地福寺町、石田町は二回目の「オコナイ」の撮影であった。にも関わらず今日までUPがしてなかった。同じ長浜市内でも初回に撮影した鳥羽上に比べてもかなり簡素化された「オコナイ」であって、どのように捉えるか纏まらぬまま今日まできてしまったのである。オコナイの撮影当初は餅花(マイ玉・マユ玉とも呼ばれる)が本物の餅で作ることから珍しいし、社参行列を写すにあたって“絵になる”ということから、オコナイの核心は餅花だと思っていた。餅花は稲穂がたわわに実った形の具象化でもあるし、あるいは養蚕が盛んな場所では繭玉として豊穣祈願の象徴だと思っていた。湖北の農村集落において、豊穣予祝は重儀の祭礼であると思っていたからである。二回目に訪れた地福寺町と石田町のオコナイにおいても餅花は出る。だが何かが物足らなくって、それが外見だけのことではなくオコナイの核心に触れる部分での簡略化だという曖昧模糊とした感じがしていた。地福寺町と石田町のオコナイを撮影後、更に何箇所かのオコナイの撮影を経ていくうちに、何が簡略化されていたのかが、見えてきた。即ち、御鏡餅の存在と扱いがどうであるか、この一点である。御鏡餅の存在が湖北のオコナイにおいていかに重要であるかが、長浜市川道や高月町高野のオコナイのキャプションで私見を記した通りである、、、御鏡餅は神事的には御神饌というだけでなく、民衆においては御神饌を超えた存在、すなわち神仏そのものという崇高な存在である。神事的にはそのようにご神体にも等しいのが御鏡餅であるが、政治経済的には民衆の村の結束、団結の再認識の象徴と考えた。すなわち儀式としての御鏡開きこそ、もっとも実利的に重要なのである。農村の宗教的結束において飢饉旱魃など農災や疫病に対処したり、あるいは幕府役人に談判するなど生活に直結した組織の再認識が必要であったろう。神仏に供された御神饌を分けて直会とするということは、共に信じる神仏への連帯血盟であると同時に、神仏の神威を奉じるという一体感である。そのような意味の中に、豊穣予祝などが包括されると同時に、御鏡餅こそが主役であって餅花は脇役であろうと、本年のオコナイが終了した今は思うようになってきたのだ。そのような観点から地福寺と石田のオコナイを見ると、御鏡餅の存在が希薄なのだ。石田町においては数年前から予め紅白の小さい丸餅を作っておいて、オコナイ後に分けるのだという。そこには一つの大きな御鏡餅を皆で開いてから分配するという過程と意義が喪失している。神仏に供えた鏡餅を目の前で皆と分け合うという儀礼の重大さ、それが欠けたのは簡略化として大きな変化であろう。一方の地福寺においても、御鏡餅は大きなウエイトを占めていないようであった。餅も器械で搗くということだし。
ともあれ「オコナイ」は各地において簡略化が進められている。何箇所かにおいて、数年前までは云々、という説明を聞いた。その度にオコナイの撮影を始めるのが遅かったかもしれないと忸怩たる思いがしたが、現状として撮影していくしか仕方が無い。
平成20(2008)年度のオコナイを撮影した感想であることを、お断りします。来年また撮影すれば、捉え方が変わるかもしれないが。。。
(地福寺町と石田町は直線距離で4kmほどである。同日の開催のため、掛け持ち撮影した。)


■ 長浜市 地福寺町

撮影場所&日;滋賀県長浜市、住吉神社:平成20(2008)年1月20日

宵宮に社務所床の間の十二燈に神火を移し、一晩中消えないように番をする。本日(ほんび)の午前10時、高張り提灯、マイ玉、御幣持ちなどの社参行列が80m程の参道を神社拝殿まで向かう。

上左写真;頭屋にて稚児、上右写真;社参行列。餅花に稚児、頭屋ら。

上左右写真;住吉神社における祭典


■ 長浜市 石田町

撮影場所&日;滋賀県長浜市、石田会館・日吉神社・八幡神社:平成20(2008)年1月20日

石田町は東・西・南・北・坂下・磯部の六組からなり、それらの組の中から担当者を出して、石田町として石田会館を頭屋として行う。
社参は日吉神社そして八幡神社の順に行う。ちなみにここは、石田三成の館跡と伝えられる。

上左写真;頭屋の石田会館にて。紅白の餅や子供マイ玉が見られる。

上右写真;社参と玉串奉奠などの順番を、籤で決める。

上左写真;日吉神社から下がる御鏡餅の輿。

上右写真;とんでも顔をしてくれた、子供マイ玉を担ぐ少年。


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