日本!(オコナイ)
No.54 マユ玉の語源を求めて (糸繰り〜原糸づくり)

滋賀県長浜市木之本町、 平成25(2013)年6月撮影

冬、湖北における オコナイ では、樹枝に御餅を付けた いわゆる 餅花 が奉じられる集落がある。
その餅花を 「まい玉」 あるいは 「マユ玉」 と呼ぶ。
パーセンテージから云うと「まい玉」が多いのだが、戦後オコナイの研究者であられる井上頼寿氏によると、「まい玉は元は真玉で豊作を意味する雪を現す言葉が 舞玉とか繭玉とか云われるようになり 」 ということらしい。
 雪が豊作の象徴とは、まるで新野の雪祭を連想するが、雪=豊作 という民俗的な発想の方程式には興味深い。
それはさておき、「マユ玉」と呼ぶからには、養蚕との関連性があろう。しかしながら現在の湖北で、実際にカイコを飼ってマユを作りだしておられる農家は、無い。
現在は、ということであって、かつては桑畑が広がっており 蚕を飼っていた というご老人のお話は聞くことができる。
「マユ玉」というオコナイのアイテムの呼称の源たる実物を、撮影してみたい。
そしてこのほど、長浜市において繭から「糸取り」をされて糸に紡ぎ出す作業を撮影することができた。
作業は朝の8時過ぎから夕刻5時くらいまで、一度に百個ほどの繭を熱湯に入れて糸繰り(座繰)をして糸車に巻き付けて行く。これを一日に何十回と行う。
目の前で無数の繭から糸が作られていく光景を見て、江戸時代から行われており特に明治に入ってから養蚕や生糸の繊維産業が興隆した地場産業の発展をオコナイの中でも念じ、餅花の呼称にまで影響を与えた様子を想像することができた。
この工房で作られた生糸は、主に三味線の弦などに用いられる。

(事前に見学許可済 : 工房の皆様にお世話になり、感謝申し上げます)

上写真;集落のメインストリート。坂の下に生糸工房がある。

上写真;現在、生繭は岐阜県の美濃太田から仕入れる。運ばれてきた繭は、火を入れた熱風によって中の蛹を半場殺す「殺蛹(さつよう)」が行われる。

上写真5枚;繭は80℃ほどの熱湯に入れてから藁箒で撫でて糸口を探す。20本くらいをまとめて「ふしとり器」を通して一本にして小枠に巻き取っていく。これを「座繰り」と呼ぶ。

上;小枠に巻き取られる生糸と、並ぶ小枠。

上左右;小枠から大枠に改めて巻き取り替える。揚げ返しという。


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