日本!(オコナイ)
No.42 余呉町 今市

滋賀県長浜市余呉町今市、 平成24(2012)年1月撮影

湖北のオコナイで中心的な存在は、なんと云っても御餅である。御餅には、円形あるいは方形の御鏡餅や柳や桜に御餅を付けた餅花がある。餅花はマイダマ、マユダマなどと呼ばれて見た目、華やかである。豊穣の予祝祈願の餅花は農村集落にとって重要である。しかし予祝と意味が違い、神仏そのものの神威や仏威のパワーを宿した中心的な存在は御鏡餅である。現在の高月町、木之本町や余呉町の一部において、その御鏡餅が搗き上がったときに付形する型輪にオカワがある。御鏡餅が神や仏そのものであるとすると、その付形するオカワは依代である。このオカワは集落内で集落内祭祀であるオコナイの中心的存在を一年間務め上げる当家(頭家・搭家)または社守のシンボルとして、時代を越えて継承されていく。引継ぎの盃を酌み交わした後、新当屋は一年間そのオカワを守り奉るのである。御餅が中心となるオコナイの更に中心の司祭として存在するオカワ、実際には扱いが様々であった。実際にはオカワの中心には木や竹で組んだ骨格があって、周囲を藁で巻いていく。藁は毎年巻きなおすが、骨格の輪だけは継承していくというパターンが殆どであった。その骨格部分で御餅を付形し、搗きあがったら骨格に藁を巻く。あるいはオカワ自体では御餅搗きには使わず、完全にシンボルとしての扱いの場所もあった。しかし今回拝見させて頂いた今市では、これまでに見たことの無いオカワの扱いであった。骨格としての板は御餅搗きの付形にも使わず、というか骨格が無いのである。藁で編んだオカワが、大鏡餅の中に埋没されるのである。搗かれた大鏡餅に埋め込まれたオカワは、社参で神前に奉献され、後に撤下されてから鏡開きの時に取り出される。大鏡餅と一緒に神前で、神威のパワーが憑くのである。そのオカワは、やはり新当家で一年間祀られる。大鏡餅にオカワを完全に埋め込んでしまうという扱いは、初めて拝見したが他に類があるか不明である。しかしながら御餅の中心で神仏のパワーのアンテナとして存在するとは、利にかなった扱いであろう。オカワとは何であるか、そのような意味合いを明確に示したオコナイである、たいへんに興味深かった。

※今市の皆様にはお世話になりまして、御礼申し上げます。

上写真;一年間 社守を務めた家で早朝の御祓い。

上写真;旧社守の家からオカワが移送される。

上左右写真;御餅搗きと御鏡合わせ。オカワが埋め込まれる。

上写真;佐味神社へ、笛・太鼓・鉦で囃して練り込む。

上写真;佐味神社での祭典。

上写真;佐味神社から新社守宅へ、御鏡餅が移送され、御祓い。

上写真;御鏡開き。オカワさんが取り出される。


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