撮影場所&日;滋賀県長浜市木之本町杉本(旧 伊香郡)、平成23(2011)年2月6日
杉本のオコナイの特色は、桜の古木に桜の枝を挿して、桜の花の造花を作って奉納することである。社参は、榊を持った当家さんを先頭に、御神酒、花、御餅そして太鼓や笛の鳴り物が続く。六所神社で祭典が行われるのだが、祭典は宮司さんではなく、社参した氏子だけによって行われ、祝詞も宮守さんによって行われる。花は御幣を装飾化したものであり、祖霊を修正会・修二会に招ぎ降ろす依り代であるから、単なる飾りではない。そのような依り代としての花が、やがては餅花のような形へ分化していくのである。
祭典の後には来年度の当家を決める籤が行われ、本年は4組であったが、来年は3組と決まった。
社参は雪の壁の間を進み、雪に桜の造花が美しかった。拝殿内では御神饌が献じされるだけでなく、花でも荘厳された。
尚、造花を奉納される処で、餅花をも奉納される場所は無い。どちらかであることが、重複する意味のないことを示唆しており、興味深い。
昭和35(1960)年に発行された井上頼寿著『近江祭礼風土記』(臨川書店)において、造花は戦前で消滅したような記載になっているので、その後に復活したのだろう。
※ 杉本の皆様には御世話になり、どうもありがとうございました。