日本!
No.55 鍵と今里の 蛇巻き

撮影場所&日;奈良県磯城郡田原本町 鍵&今里、平成22(2010)年6月6日

鍵と今里で、旧暦5月5日(現在は6月第一日曜日)に行われる、藁で蛇(龍)を編み上げて町内を練り歩く、蛇巻き を拝観撮影した。
蛇巻きの意義は、三点が考えられる。
,泙彩鄂精廚蠅箸靴董⊆悄蔑供砲鮨綽世箸靴匿鬚瓩訶澄これは鍵において、蛇の前に“どさん箱”と呼ばれる箱に、ミニチュアの農耕具を納めた箱を御幣状に奉持し道行することや、今里においては最後に川柳の木で作ったミニチュアの農耕具を祠に納めることからも判る。蛇は農作物を食い荒らす鼠を捕食することから、守り神として敬われたことは、周知である。
旧暦の5月5日、端午の節句の行事として行われていた。行事は15〜17歳の少年が中心になって、かつては行われていた。これはこの行事に参加することが子供からの離脱で若者集団に入ることを意味する。そして若者集団からの離脱は、大人への仲間入りである。つまり通過儀礼の側面があった。
8阿任麓悗歪内を練った後は、「はったはん(八王子)」と呼ばれる集落外れの榎の木に掛けられる。今里では、神社の榎に巻きつけられる。これは勧請縄のような外観であると同時に、意味合いも同様なモノであろう。集落外から入り込もうとする魔障、疫神の侵入を防ぐのである。この掛けられた蛇縄は、一年毎に交換される。常に新しいモノに交換されることは、蛇の脱皮に相当する身殺ぎ(みそぎ=禊)である。
蛇の外観も、町内を練るのも鍵と今里では若干違う。
鍵では午前9時ころから産土神社の八坂神社において蛇を編み始め、頭部は重さ200Kgにもなる頭でっかちの蛇が出来上がる。午後1時半、神主さんのお祓いの後、町内を練ってから、「はったはん」へ向かう。頭部が重いので、頭(かしら)と呼ばれる14〜17歳の少年らが中心となって担いで行くが、ものの30mも進むと小休止をしないと進めない。「はったはん」で勧請縄状に吊ってから、再び神主さんによるお祓いがあって、午後3時10分頃に終了となる。一方、今里では午後1時ころから長さ18mの蛇を編み始め、午後3時ころに完成する。午後3時半、杵築神社を出発し、町内を練る。一軒一軒氏子さんの玄関まで訪ねて、「おめでとう」と祝福して歩く。2時間半もそれが続き、午後6時過ぎに神社に戻ったら、今年の恵方である南南西に頭を向けて榎に巻きつけられる。その下で頭ら少年が祠に農機具のミニチュアを納めてから直会を行って終了となる。「おめでとう」とは、この行事の,任いΔ覆蕁稲作豊穣の予祝、 △任いΔ覆蘋瓩鯡技に越す祝い、ということであろう。
鍵の蛇縄は頭を下にして掛けられることから下り龍(降り龍)、今里は頭が上だから昇り(上り)龍と呼ばれている。
余談になるが、地名の鍵とは面白い。蛇のペニスが鍵状の形状らしいが、そこから付いた名前という訳ではなかろうか、、、不明である。
5月、6月は蛇の脱皮が最も盛んな時期である。その時期に蛇の祭りが行われることも、偶然の一致とも思えない。興味深い行事であった。

■ 鍵

鍵の町を這いずり周った蛇は、ついには勧請縄となって、一年間集落を守る。勧請縄の元での祭典は、荒神祭であろうか。古い蛇縄から新しい蛇縄へ、それは水神、いや祖霊である蛇の脱皮新生による永続性を抽象的に現す場所でもある。


■ 今里

今里の蛇は、各家を訪ねて祝福して歩く。門から蛇が入り込む写真を見ると、性的な情景に見える。記紀の時代から、蛇が男神であって男根の象徴のように目されていたことが納得できる。かと云っても、蛇は女性であったりもする。巻いた状態が女性器を現したりもする。蛇巻きを奉仕する若者を、時々大声で蛇を巻きつけられたりして大暴れする。以前は見物の住人をも巻き込むこともあったようだ。手荒い祝福だ。


■ エピソード

上左写真は、今里で見つけた、蛇が脱皮した後の脱け殻。蛇巻きが行われる時期は、蛇の再生・更新が盛んな時期であることを示す証である。
上右写真は、今里の産土神社である杵築神社において参拝者に振舞われた、ワカメ巻き。餅米の藁で括ったワカメを、砂糖と味噌で30分間煮たものである。およそ直径4cmくらいのワカメを、ガブリと一口で口の中に放り込み噛み締める。味噌醤油のような味付けと、ワカメの甘さが口いっぱいに広がって、たいへん美味しかった(御馳走様でした)。さて、何故このような蛇巻きの行事で、ワカメ巻きか。ワカメという素材は形状を調製し易かったためであろうが、その形状とはズバリ、蛇が どぐろを巻いた状態の造型であろう。蛇の、再生の生命力(=脱皮)の類感呪術によって、蛇の生命力にあやかろうという食品が、このワカメ煮であろう。藁で作った蛇が町内を這いずり周り、食べるものも蛇、、、興味深いことである。


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