撮影場所&日;愛知県岡崎市滝町 瀧山寺、平成19(2007)年2月24日
撮影機材;Nikon D80+SIGMA18-50mmF2.8
現地情報;駐車場は県営運動場(臨時駐車場)、屋台あり
滝山寺では平成19年度、修正会『鬼祭り』が2月24日に行なわれた。18時、仏前法会と鬼塚供養が行なわれる。鬼塚供養は父面・母面を葬る塚で、供養と参詣者の厄払いを祈願する法会である。鬼祭りに登場する鬼面は、祖父母に孫面の三面で、父母が不在である。父母面は、潔斎沐浴せずに面を着けた行者が憤死し、面と共に葬られたのだという。祭りに際して本堂前で行なうこの祭りは、伽藍様祭りとも考えられるし、悪霊鎮めが父母面に象徴されているのかもしれない。
この行事の後、19時から本堂前の舞台で『庭祭り(田遊祭)』が行なわれる。東次郎・西次郎の二人が薙刀を激しく回転させて東西の悪魔を払う。舞楽【振鉾】を連想する舞だが、激しく回転する薙刀がド迫力である。そしてコツボメと福太郎の二人による田植えの予祝が行なわれる。
それが終わり、19時45分頃から約15分間が『鬼祭り(火祭り・鬼追祭)』である。今では鬼=節分と考えられているが、節分とは立春・立夏・立秋・立冬の季節が改まる前日を指していたが、今では立春の前日を意味するようになっている。節の変わり目には悪霊や邪気が集まりやすく、これらを鎮撫する必要がある。平安時代、朝廷では大晦日に「追儺式」を行なっていたが、これが室町時代の頃に節分の鬼を払う式に混同されるようになった(※)そうである。滝山寺の鬼は、最初は鉞や橦木を持って登場するが、途中から鏡餅に持ち替える。鉞などを持つ荒ぶる神格としての鬼が鏡餅に持ち替えるとは、悪霊から守護神へと転生したことを現しているかもしれない。鏡餅は五穀豊穣の象徴であり、歳神様の憑く依代で、御魂の象徴でもある。鬼は鏡餅を持つと左右に回転させながら扱う。これは魂を振り、神威発揚をさせる“神輿振り”に共通する行為であろう。現在、『鬼祭り』は『田遊祭』に続いて行なわれるが、本来は先に鬼祭りがあって、そして田遊祭であったろう。善霊と化した鬼が守護神となって田畑を守り、見守る中で農耕の予祝行事の田遊びが浄化された中で行なわれた、と考える方がすっきりする。
(※)【有職故実】石村貞吉;講談社学術文庫、P.358
参考・・・【瀧山寺】山田光隆、(瀧山寺発行の小冊子)
■庭祭り(田遊祭)
上記キャプションをご参照下さい。
■鬼祭り(火祭り・鬼追祭)
上記キャプションをご参照下さい。
(角が有るのが祖父、無しは祖母面の鬼。孫面は男衆に抱えられて、本堂の欄干を東西に移動する。結界を結んでいるのか。。)