撮影場所&日;
静岡県周智郡森町、山名神社、
2005年7月16、17日
撮影は16&17日の、二日間行ないました。初日は舞台に近接して、翌日は離れて撮影しました。
近接撮影では意図的に暗く写して、疫病に怯える民の心理状態を表現したり、ブラして舞の動きを表現してみました。
上左写真は、祭見物の女性を写させてもらいました(ありがとう!)。上右は、山名神社本殿です。
尚、ここの舞は中央楽家の舞楽とは全く舞い姿が異なりますし、曲名も【迦陵頻】以外は一致しません。お神楽のジャンルにリンクすることも考えましたが、「天王祭舞楽」と“舞楽”を銘打ってますので、こちらにリンクしました。
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《参考文献》
山名神社配布資料(中村茂子著「芸能史研究」No.124より)
【神道行法の本】学研
【日本の神々の辞典】学研
【神子舞(みこまい)】17:10〜17:30
京都祇園祭、蟷螂鉾幕模様と同じ夕顔の打ち掛けで舞ます。この舞の前に【八初児(やつはち)】(未UP)という清めの舞があります。清めに続いて巫女舞ですから、神懸かりか神降ろしの舞の意味合いがあるのではないでしょうか。
【鶴】17:40〜18:00
阿吽の一対の鶴が舞います。鶴の造形を頭に載せて、顔は赤い付毛で隠して舞います。背中には15枚の羽根を付け、両手を広げると扇状に広がります。
【獅子】18:40〜19:00
阿吽の一対の獅子舞で、顔は鼻掛けで隠して獅子頭は頭上に乗せます。享徳年間(1452〜55)〜文明年間(1469〜87)には讃岐・紀伊・尾張など地方の祇園会に舞車が出て、そこで舞われていたようです。
【迦陵頻(かりょうびん)】19:10〜19:30
迦陵頻は、天竺の祇園精舎に舞い降りたという鳥です。中央の舞楽にも同名曲が有りますが、舞ぶりも姿も全く異なります。中央の舞楽が変質したというより、迦陵頻という空想の鳥をイメージして独自に創作された舞ではないかと思いました。
【龍(りょう)】19:40〜20:00
龍神信仰の主願である雨乞い祈願の舞です。雌雄一対の舞で、龍を頭に載せて顔は赤い付け毛で隠します。尾には紙製の尻尾を付けて、舞の途中で舞台前面左右の柱に逆立ちしてブラ下がり、そこから反り返ります。龍神が天に昇る様を表現してるのかもしれませんが、このような危険な舞をすることで祈願を強く訴える呪術性を感じました。
《屋台》 山名神社の氏子9町内のうち、8町内が屋台を出します。氏子域を退きまわした後に神社にやって来ます。本殿前では屋台を正面に着けて、上下に激しく振ります。霊振り(鎮魂)の意味でしょうが、屋台には御祭神は安座されてません。正面の御祭神に向って、氏子の“御参拝”という意味合いと考えた方が良いでしょう。
【蟷螂(とうろう)】 20:10〜20:30
頭に載せたカマキリの作り物を糸で操って、動かしながら舞います。【龍】とこの曲は、日本で残存する唯一です。京・祇園祭で巡行した蟷螂山がモデルだそうです。
【優填獅子(うでんじし)】20:30〜21:00
優填王は文殊菩薩の脇侍で、ここでは牛頭天王にダブらせてあります。獅子は疫病の象徴であり、牛頭天王が退治して疫病祓いの舞としてあります。優填王が暴れる獅子を、縄で絡め止めます。