日本!(念仏・風流)
No.13 綾渡の夜念仏

撮影場所&日;愛知県豊田市綾渡町平勝寺、平成19(2007)年8月10日
撮影機材;Nikon D80+VR18-200mm、D70s+SIGMA10-20mm
現地情報;駐車場有、コンビニ・食堂無し

綾渡夜念仏の「施餓鬼供養」が、8月10日の19時から20時まで行なわれた。
折子灯籠の極楽絵を先頭に、香焚、音頭、側衆そして地獄絵の折子灯籠をしんがりに、参道前と寺に道行きしてから、念仏が唱えられる。唱和は寺前の石仏の処で「辻回向」、山門のところで「山門開き」、観音堂前で「観音様回向」、神社前で「神回向」そして本堂前で「仏回向」が唱えられる。三河方面に多い、太鼓を抱いて跳躍乱舞する放下踊りや跳ね込みとは異なり、側衆は直立したまま鉦を叩くだけで南無阿弥陀仏の念仏を唱和する。念仏が静かに唱えられるのを聞くのは、深い悲しみと極楽往生への希求、及び成仏できず祟りやすい死霊を鎮める怨霊鎮撫が感じられる。この成仏できぬ霊への念仏は、下記の能でも示唆されている。
私の好きな能の演目に、【隅田川】という観世十郎元雅作の曲がある。その物語りである・・・京の梅若という子供が人攫いに奪われ、我が子を探す母が東国までやって来て隅田川を舟で渡り、対岸ににたどり着く。そこでは人買に連れて来られた子供が病死し、悼んだ民が念仏供養をしていた。梅若の母は、供養の塚に眠るのは我が子であると確信して絶望に打ちひしがれながらも、念仏を唱える。すると梅若の亡霊が現れ、母は抱こうとするが、腕からすり抜ける、、、。残酷な内容の能である。この隅田川の畔で行なわれていた念仏に、跳躍乱舞があったという想定ではない。母は、ちょうど綾渡夜念仏のように鉦を打つだけで念仏を唱えるから、まさにここの念仏のような形式であったのだろう。
綾渡夜念仏は、15日にも「観音供養」が19時から行なわれる。

     《参考文献》
     【面からたどる能楽百一番】三浦裕子、神田佳明、初代堀安右衛門;淡交社

上写真4枚;道音頭

上写真;「山門開き」

上写真;「観音様回向」

上写真;「神回向」


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