日本!(お神楽)
No.16 田峯田楽(田峰田楽)

撮影場所&日;愛知県北設楽郡設楽町・田峯(峰)観音、 平成18(2006)年2月11日
撮影機材;Nikon D70&D70s、Nikon AF85mmF1.8D、SIGMA 10−20mmF4-5.6、18−50mmF2.8

面を観音堂内陣で清めた後、面櫃に収めて加用が神前の灯明と共に、魔払宅に運ぶ。

祭りの前の神事で、禰宜・羽織・鳥追いが木の根祭りを斎行する。

田峯(だみね;田峰とも書きます)田楽は、三部構成、すなわち三件(みくだり)になってます。「昼田楽」「夜田楽」そして「朝田楽」です。
「昼田楽」は、「伽藍祭り」とも云われてます。伽藍神様はこの地方では荒神と考えられていて、『祭りの最中に伽藍様に出てこられては何か変事が起こるとて、本祭前に略式に祭りをして伽藍様を満足させて、本祭には出てこないように願う(本田)』ために舞を奉納します。伽藍様には疫神の性質があるようで、祭りを邪魔しないように「昼田楽」を奉納することは、「夜田楽」において豊穣祈願の類感呪術をすることで得られる実際の農耕の繁栄に禍が無いように鎮めておくという、実利的意味も有るのでしょう。
類感呪術とか感染呪術とかいう行為は、こちらの姿や状況を、農耕なら穀霊・稲霊という対象に感染させて、同じ様な結果を期待するパフォーマンスです。豊穣になる田植えを田楽で演じて神仏に祈願することで、それが現実になることを願うわけです。田楽において、“もどき”といって本舞に続いて舞われる本舞を強調する補足的舞がありますが、考えようによっては実際の農耕の収穫に対して田楽すべてが“もどき”ともいえないこともないと思います。生活に直結した祈願ということで、田楽は農耕民には内容が分かり易く明瞭です。
田峯田楽は旧暦1月17日の昼から翌朝未明までに及んでましたが、現在は朝から夜にかけて一日で奉納されています。よって、三件の名称が実演の時刻とズレています。祭りを行なう祭祀組織は現在も世襲制を維持しており、祭りの前から斎戒沐浴に別火で、生活を律しています。
その歴史は長く、今年は447回目ということですが、単純な引き算では1559年からということになります。永禄11(1568)年の田楽の制礼の記録もあり、田楽帳で現存する最古のものは寛政6(1794)年の記録が残っているそうです。

《現地情報》駐車場=有り、売店・屋台=有り
《キャプションに関する参考文献》
【だみねのまつり 田楽と地狂言】田峯家庭教育推進委員会・田峯小学校父母教師会 代表七原明郎
【日本の伝統芸能】本田安次;錦正社
【伊勢神宮】所功;講談社学術文庫


■昼田楽 (08:00〜10:00)
額堂において、伽藍様に四膳の献饌をしてから始まる、伽藍様に奉納する鎮めの儀式舞です。

上左右写真【扇の舞】


■夜田楽 (16:00〜20:00)
本堂内陣において直会を挟んで4時間続きます。全16演目の中から、5演目をUPしました。


上【田打ち】 太鼓を伏せ、上に藁菰を敷き、餅櫃の蓋を乗せて田に見立てて、その上を奉仕者全員で田歌を唄いながら叩きます。

上左 【代掻き】長さ20cmほどの檜の棒の端にべらべら餅を差し駒の轡とし、一人が駒となって舞う、ユニークな舞です。
上中 【鳥追い】鼓を打ちながら、鳥追いの唱えごとを歌います。ユーモラスに聞こえますが、実際には切実な願いだったんでしょう。
上右 【大足】帯状の黒い布に鈴をつけて、両手を広げて舞います。鈴は祭祀用具であり、悪霊を払うだけでなく神招き、鎮めの呪具です。では帯状の布は?、、、想像です・・・伊勢神宮では布は幣物として大きなウエイトを占めています。月次祭では天皇陛下からの幣物に白絹や御衣などがあり奉幣されます。それに田植えと刈入れの時期の5月10月には、「神御衣祭(かんみそさい)」といって天照大御神に神御衣をお供えする祭儀もあります。日本の神々は御神饌を御箸で戴かれますし、衣も季節によって替えられます。夏と冬の前に御衣や絹をお供えすることは、伊勢神宮の祭祀においても神嘗祭と同じ様に古い祭事であります。このように、神様に捧げる衣というのは重要な幣物であるから、この舞において衣を持って舞うのは神様に献じるという、伊勢神宮の祭祀を参考にした舞ではないかと思います。

上左右【田植え・昼飯】
夜田楽の最後の演目で、太鼓の周りに全員が稲(シキミを使う)を持って立ち、禰宜の田唄に合わせて田植えをする。途中で魔払(さいはらい)と子守が到着して、「ねんね様」に昼飯を食べさせます。ねんね様は御本尊の十一面観音の御子ということです。ですが、これは子孫繁栄の予祝でしょう。


■朝田楽(20:00〜22:00)
境内の歌舞伎小屋客席部分に四箇所焚火をして、その中で舞います。天井には竹で編んだ骨格の小屋がけが剥き出しで、独特な雰囲気です。


上【庭固め】魔払いが舞処を清めます。



上三枚【火伏せ】魔払い、禰宜、四天田そして小田楽らが、それぞれの採り物を手にして焚火を蹴り上げていきます。

上左【殿面】御本尊の十一面観音の御加護を讃え、不老不死の唱え事を謡います。
上右【女郎面】御本尊だけでなく、伊勢皇大神宮はじめ諸神の神威を称える唱え事を謡います。

上左【駒面】禰宜が駒の面をつけ、羽織が手綱を引いて現れ、十一面観音を称えます。
上右【翁】


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