撮影場所&日;愛知県北設楽郡豊根村坂宇場、平成18(2006)年11月25,26日
撮影機材;D80+SIGMA10−20mm、D70s+VR18-200mm
花祭撮影3年目にして、初めて豊根村の花宿を訪れた。早川孝太郎氏の分類では大入系に属するが、振草系との違いは私的には判別できなかった。ただ「一之舞」が南信濃村・和田タイプの猿面を彷彿とさせたり、榊鬼の松明割りが坂部の冬祭りの鬼を思い出させたりしたのは、霜月神楽・御神楽文化圏との混合が起こっているように思えたが、どうであろうか。
坂宇場の花宿は、異様な盛り上がりをみせた。山見鬼、三つ舞そして榊鬼が登場するのは、草木も眠る深夜の0時から4時半頃である。セイト衆(見物人兼祈願者)の囃し立てる声、激しく打たれる太鼓の響き、舞庭を所狭しと舞う姿に、見ているだけで体が揺れて忘我の域に達する。それは花宿全体が鳴動しているとでも表現しえようか。寒さと眠気に耐えて朦朧として反復される舞の所作を見、太鼓のリズムを聴いていると、興奮を突き抜けて意識は夢か現かの世界に入る。そのような幽(おぼろげ)な世界を写真で表現するのは、容易でない。
上左写真;「地固め」の剣 上右写真;「花の舞」
上左写真;「山見鬼」、上右写真;「榊鬼」